アメリカでは株式、住宅、債券など先進国の資産価格がすでにバブルの領域にあり今後の暴落は避けられないとの声も聞こえてきます。
とくにアメリカ株は17年振りのバブルで、暴落は近いのでは?と言われています。その理由は…
アメリカ株バブルで暴落近い?
確かに、金融危機後の日米欧の中銀による未曽有の量的緩和が過剰流動性の横溢となって資産価格を押し上げて久しい。とりわけ、米国株や英国の住宅、世界の債券相場はすでに割高感が高くなっています。
ノーベル経済賞受賞エール大学ロバート・シラー教授が1988年に考案した「CAPEレシオ」景気循環調整後PER(株価収益率)によれば、米国S&P500のいわゆる「シラーPER」は11月14日時点で31.47倍に上昇しています。
過去に30倍を超えたのは、2000年ITバブルと世界恐慌の鳥羽口に立った1929年NY株式の大暴落直前の2回しかありません。
「CAPEレシオ」の概念は、
- 1)株価の割高・割安を測る指標
- 2)過去10年の利益と物価変動を加味した疑似PER(株価収益率)
- 3)一般的には25超が割高と判断
- 4)1881-2017年までの130年超のデータ(中央値16.75)
等です。
この指標の逆数を取り、景気循環後の株式益利回りを算出することで予想実質リターンを測定することができます。「それによると、米国株の景気循環調整後リターンは現在33.4%に低下している。これを下回っていたのは1929年と1997-2001年だけだ。我々はその後に何が起きたかを知っている」(英FT紙)。
「今回は違う」似て非なる資産バブル
「大方の資産が過度に割高であると主張することは難しい。今回は事情が多少とも異なる可能性があるからだ」(英FT紙11月10日電子版『We’re in bubble territory again, but this time might be different(再びバブル領域も今回は違うかもしれない)』)-。
巷間、株式や住宅に債券など先進国の資産価格がすでにバブルの領域にあり壊滅的な暴落は避けられない、と論じる向きが少なくない。確かに、金融危機後の日米欧の中銀による未曽有の量的緩和が過剰流動性の横溢となって資産価格を押し上げて久しい。とりわけ、米国株や英国の住宅、世界の債券相場はすでに割高感に覆われている。
ノーベル経済賞受賞エール大学ロバート・シラー教授が1988年に考案した「CAPEレシオ」景気循環調整後PER(株価収益率)によれば、米国S&P500のいわゆる「シラーPER」は11月14日時点で31.47倍に上昇している(下図)。
過去に30倍を超えたのは、2000年ITバブルと世界恐慌の鳥羽口に立った1929年NY株式の大暴落直前の2回しかない。「CAPEレシオ」の概念は、1)株価の割高・割安を測る指標、2)過去10年の利益と物価変動を加味した疑似PER(株価収益率)、3)一般的には25超が割高と判断、4)1881-2017年までの130年超のデータ(中央値16.75)-等である。
この指標の逆数を取り、景気循環後の株式益利回りを算出することで予想実質リターンを測定することができる。「それによると、米国株の景気循環調整後リターンは現在33.4%に低下している。これを下回っていたのは1929年と1997-2001年だけだ。我々はその後に何が起きたかを知っている」(英FT紙)。
だが、最も重要ではあるが米国株だけが世界のリスク資産市場ではない。「ドイツと英国のCAPEレシオから割り出される景気循環後の実質株式益は5.1%と6.2%である。現在の米国の数値が1983年以来の平均の3分の2であるのに対し、ドイツは89%に過ぎず、英国はこれを8%上回っている。
この基準を踏まえるとドイツと英国の株式市場は割高とは言えない」(英FT紙)。なお、日本の景気循環調整後株式益回りは4.1%で1983年以来の平均を42%上回るが、いずれにせよ、米国株が例外であるように見えるのは筆者だけではない。
一方、住宅市場はバブルかといえば、やや趣を異にする。英国の実質住宅価格は危後前のピークに近く、米国の住宅価格は危機後の安値を29%上回るが、危機前の高値を16%下回る。イタリアとスペインの実質住宅価格はピークを大きく下回っており、つまり英国の住宅価格が最も割高である。
方や債券市場について重要なポイントは、債券の実質及び名目の利回りが長期にわたり低下していることだ。つまり、米国株に割高感があると同時に全ての国債が割高感に覆われている。だが、それは持続不可能な割高さなのか。答えは「否」だろう。
債券の実質利回りが非常に低いが故に資産価格は高くて然るべきである。むろん、「リスク資産の上昇には限度があるが、現状が過度なバブル領域にあるとは言えない」(英FT紙)。むろん、そこには以下のような低い実質金利と低インフレの持続性とその時代背景が指摘される。
出典:FXニュースレター
政治力学が立ちはだかるバブル抑制策
ある米系投資家が「米国株はバブルと喧伝した著名投資家G・ソロス氏は膨大な損失を被って止むを得ず米国株ショート戦略から撤退した」と打ち明ける。
大規模な金融緩和とその長期化が、次のバブルの萌芽となるが、未だ未曾有QE(量的緩和)長期化による過剰流動性の「金融相場」と世界経済拡大による「業績相場」の車輪の両輪が顕在である。
しかも、バブルは時代によってその姿を変えるから、結局、バブルは壊れるまで判然としない。「山が高ければ、谷深し」の格言にあるように、資産バブルと見なせば、その崩壊を避けるべく当局が予防的なバブル抑制策に動けば良いというが、「そこには政治力学が立ちはだかり容易にバブルを抑制する引締め政策は採り得ない」(同米系投資家)。
トランプ大統領は一時、来年2月に任期を終えるイエレン議長の再任を考えたが、結局、金融政策ハト派かつ金融規制緩和派の政権にとって都合がいい共和党員ジェローム・パウエル理事を議長に選んだ。
むろん、「パウエル氏はトランプ政権の政治的な圧力に屈しやすい」(同米系投資家)。ある米系投資家は、「米税制改革法案の審議は未だ紆余曲折が予想されるが、パウエル次期FRB議長は低インフレへの警戒とともに忠実に『イエレンなきイエレン路線』を踏襲する」と語る。
そもそも、イエレン路線とは、2015年末から金融「正常化」利上げに踏み込んだが、フィリップス曲線を信奉しつつ利上げペースは至って緩慢、実質的な超金融緩和の継続に他ならない。
そこで英エコノミスト誌(11月1日号)が「フィリップス曲線は永遠に壊れてしまったかもしれない」と題する記事を掲げ、フィラデルフィア連銀は「フィリップス曲線はインフレ予知道具として有効ではない」との報告書をまとめた。
ある在NY金融筋は、「過去数十年にわってインフレを予想する上で用いてきた『2つ』の前提条件、一つは中央銀行のマネタリーベース拡大と消費者物価上昇との因果関係、もう一つは失業率低下とインフレ上昇という『フィリップス曲線』という2つの前提条件が崩れつつある」と断じる。
実際、インフレの仕組みに関する中銀関係者の理論的帰結で、その中心にあるのがフィリップス曲線である。つまり、失業率が均衡水準を上回るとインフレが鈍化し、物価や賃金に下落圧力がかかる。均衡水準を下回れば、言い変えれば完全雇用の状況に達すれば、インフレ率は加速するというものだ。
元来、これら「2つ」の前提に立てばインフレ率は、とうに2%に上昇しているはずだがそうはなっていない。つまり、労働組合の衰退や非正規労働への移行が労働者の賃金交渉力を低減させ賃上げ力を損ない、生産性向上に帰する「デジタル革命」進化が招く低インフレ時代の本格到来だ。FRBのトランプ化により「金融相場」がなかなか崩れそうにない。
一方、日本はといえば、黒田日銀総裁による異次元緩和により物価目標こそ未達だが、デフレ脱却と経済再生では大成功を収めて久しい。だが、景気拡大は「いざなぎ」超え、株価はバブル崩壊後の高値を更新してなお日銀は年6兆円ものETF(上場投信)を買い続ける。
前人未踏の長期金利ゼロYLC(イールドカーブコントロール)とオーバーシュートコミットは長期化の予想を呈し、安倍政権はこうした日銀の大規模緩和の長期化を歓迎して止まない。
むろん、日銀がETF購入を中止した途端にすわ「出口」となって猛烈な円高・株安の嵐が吹き荒れよう。株安や景気減速はデフレ脱却宣言を遅延させ憲法改正スケジュールに支障を来す。政治的な異次元緩和の長期化に日本経済及び日本株は支援される構図は少なくとも2019年消費税引き上げまでは不変とみたい。
出典:FXニュースレター
【まとめ】アメリカ株バブルで暴落近い?
アメリカ株は17年振りのバブルで、暴落は近いのでは?と言われています。
確かに、金融危機後の日米欧の中銀による未曽有の量的緩和が過剰流動性の横溢となって資産価格を押し上げて久しい。とりわけ、米国株や英国の住宅、世界の債券相場はすでに割高感が高くなっています。
2000年ITバブル以来の「CAPEレシオ」の上昇で、アメリカ株はもうすぐバブルが崩壊し暴落するのでは?との声が聞こえてきています。
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