なぜドル安なのに株高?アメリカ株式相場2つの大きな疑問

アメリカ株

アメリカではドル安なのに株高になっています。なぜだろうか?

ドルは今年に入って他の主要通貨に対し8.4%下落しているのに、S&P500種指数は年初から10%上昇しています。アメリカ株式相場2つの大きな疑問について詳しく解説します。



ドル安なのに株高はなぜ?アメリカ株式相場2つの大きな疑問

S&P500種指数は年初から10%上昇しており、確定拠出年金(401k)の運用報告書をちらっとのぞいた人たちは幸せな気分に浸っている。一方、ドルは今年に入って他の主要通貨に対し8.4%下落している。

イギリスも同様で、国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定して以来、英ポンドと英株式相場は正反対の動きを示してきた。ポンド安が進むと株価が上昇し、ポンドが上がると株価が下がるといった具合だ。

09月01日 14時34分 DJ-【コラム】米株投資家への警告 ドル安の幻想に陥るなかれ

英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定して以来、英ポンドと英株式相場は正反対の動きを示してきた。ポンド安が進むと株価が上昇し、ポンドが上がると株価が下がるといった具合だ。

 今年、米国でも同じようなことが起きている。S&P500種指数は年初から10%上昇しており、確定拠出年金(401k)の運用報告書をちらっとのぞいた人たちは幸せな気分に浸っている。一方、ドルは今年に入って他の主要通貨に対し8.4%下落している。

 米国の投資家は肩をすくめ、ドル相場の経済的影響は比較的小さいと考えたくなるかもしれない。少なくとも海外で休日を過ごす計画のない人たちはそうだろう。だが、英国の投資家がすぐに悟ったように、これは間違ったアプローチと言える。今年、株価を最も大きく左右してきたのはドル相場だ。S&P500種指数の上昇の背景には低金利、経済成長、企業利益の回復などさまざまなプラス要因があるものの、ドル安の効用が最も大きい。

 ドル安の株価への影響を評価する上で一番簡単なのは、S&P500種指数を海外投資家の視点から見ることだ。同指数の年初来上昇率は円換算ベースで3.7%と、東証株価指数(TOPIX)の5.9%を下回る。また、欧州の投資家が米国株投資で味わった失望感は、日本の投資家よりはるかに大きいはずだ。欧州Stoxx指数が年初から5.7%上昇したのに対し、S&P500種指数はユーロ換算ベースで2.8%下落している。

 ドルベースの投資家の立場から見ても、ドル相場の影響は重要だ。今年の米株式市場では、ドル以外の通貨で多額の収益を上げている企業を選ぶべし、というのがほぼ鉄則だった。海外利益が多ければ多いほど、株価は上昇しやすかった。

 ファクトセットのデータを分析すると、売り上げの半分超を海外で上げている米企業の株価は平均で13%上昇し、米国以外の先進国の株式で構成されるMSCI指数(ドル建て)の上昇率と同じだったのに対し、S&P500種指数構成企業のうち海外売上高が全体の半分に満たない銘柄は5.9%の上昇にとどまった。

 S&P500種指数構成銘柄を海外売上高比率に基づき5段階のセグメントに分けると、こうしたパターンは一段と鮮明になる。同比率が最も高いセグメントの株価が平均で年初から15%上昇した一方、最も低いセグメントはわずか2%の上昇だった。これは、社名の頭文字を取って「FANG」と呼ばれるフェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(現アルファベット)の影響でもない。ちなみにこの4社のうち、海外売上高比率が一番高いセグメントに属しているのはフェイスブックだけだ。

 それぞれのセグメントに含まれる企業をもっとよく見てみると、これまでドル相場の影響がどれほど大きかったかがはっきり分かる。

 海外売上高比率100%で米国の売り上げが全く無い米たばこ大手フィリップモリス・インターナショナルは、年初来133%高だ。同比率が最も高いセグメントの株価は、石油最大手エクソン・モービルなどエネルギー多国籍企業グループの急落をよそに大きく上昇している。

 最も国内事業に傾斜したセグメントには、海外売り上げゼロの企業が100社余り含まれている。国内に特化した公益事業銘柄が債券の代替資産として大きく買われているにもかかわらず(同銘柄28社中20社がS&P500種指数を上回る上昇率を記録)、このセグメントの株価は年初から厳しい状況が続いている。

 こうした状況を受け、米投資家は2つの大きな疑問についてじっくり考えることになるはずだ。1つ目は、ドルは今後も企業の業績をこれほどまで左右する重要な要因であり続けるのかということ。そして2つ目は、重要性が変わらないとした場合、ドルはさらに下落するのか、それとも持ち直すのかという疑問だ。

 過去のデータを見る限り、S&P500種指数の全般的な水準にとってドルがこれからも今のような重要性を持ち続ける可能性は低い。かつてドル相場と同指数の動きの間には弱い関係しかなかった。通常、ドル以外にも、経済や市場心理、政策を巡り実に多くの要因が働いているからだ。昨年11月の選挙で米共和党がホワイトハウスと上下両院を制したにもかかわらず、米政治は目下、膠着(こうちゃく)状態から抜け出せずにいる。そうした状況を踏まえると、経済や市場の最近の落ち着きぶりは極めて異例だ。

 それでも、これまでの歴史は、ドルが今後も個々の企業の株価を大きく左右し続けることを示唆している。ドル高が進むと、海外利益がドル換算で目減りするため、国内事業の比重が高い企業の株価の方が海外重視の企業よりも上昇する傾向がある。反対にドル安が進めば、海外に傾斜した企業の買いが優勢となる。

 為替相場の方向を予測するのは常にギャンブルのようなものだ。とはいえ、ドル高が進むとの見方を裏付ける証拠がある。ドルが年初からこれだけの短期間でここまで下落したのは、すでに行き過ぎの感がある。年初から約8カ月間のドル実効為替レートの下げ幅としては、今回の下げは1973年以降で11番目に大きい。また、足元のドル安は、大統領選後に増大したドル高期待の反動が拍車を掛けたという部分もある。ドル買いに大きく傾いていた投機筋のポジションは現在、一斉にユーロ買いへシフトしつつある。どんなトレードであれ市場のポジションが集中する可能性は常に排除できないが、少なくとも言えることは、ドルが最もたどりやすい道筋はもはや「下落」ではないということだ。

 出典:Dow Jones

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