パウエル新FRB議長が直面する4つの厳しい課題とは…?

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パウエル新FRB議長が直面する4つの厳しい課題とは…?

パウエル新FRB議長が直面する4つの厳しい課題とは…?

このところの米株式市場の下落は、連邦準備制度理事会(FRB)の新議長に5日就任するジェローム・パウエル氏が直面する4つの課題を浮かび上がらせた。

低インフレと着実な雇用改善を背景に、ジャネット・イエレン前議長は緩やかな利上げを実施し、米経済の回復や金融市場の快走を支えてきた。

FRBは昨年、指標とするフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25~1.5%に引き上げ、今年は75ベーシスポイント(bp)の利上げを想定している。パウエル氏はじめFRB幹部がその通りに実行できるどうかは、前方に待ち受ける4つの課題に大きく左右される。

  • 景気が過熱したらFRBはどうするのか?

持続不能なほどの賃金上昇や、資産価格の一段の高騰などが過熱の明確な兆候となるだろう。株価の下落が続けば投資家は動揺し、より深刻な混乱へと発展する可能性がある。直近2度の景気拡大局面は資産バブルの崩壊によって幕が引かれ、2001年と07年にリセッション(景気後退)入りした。

  • FRBはドナルド・トランプ米大統領が導入する1.5兆ドル(約165兆円)の大型減税にどう対応するか?

短期的には企業や消費者の手元資金が増え、設備や住宅などに対する需要を押し上げる可能性がある。減税が人々の労働意欲や企業の投資意欲を喚起すれば、労働者の数や彼らが生産する物・サービスの量が増え、長期的な経済成長率も押し上げると考えられる。

いずれの結果も、現在の想定を上回る利上げにつながる可能性がある。もしFRB当局者が、減税が需要を押し上げる一方で、経済の潜在力が高まっていないと判断すれば(例えば、物価上昇の勢いが強すぎるなど)借り入れコストをより積極的に引き上げるかもしれない。

  • インフレ率が目標とする2%を大きく上回るか下回った場合どうするのか?

FRB当局者は堅調な経済と足並みをそろえてインフレ率が2%で推移することを望んでいる。過去5年間は物価の上がらない状態が続き、景気拡大に伴う賃金上昇や物価上昇を見込んでいた当局者の首をひねらせた。

  • 従来に比べ利下げ余地がはるかに少ない中で、次の景気悪化にどう備えるのか?

FRB内では2%の物価目標を考え直すべきとの声が強まっている。2020年にはFF金利が3%付近に上昇する見通しだが、それでも過去に比べると低水準であることが主な理由だ。つまり政策担当者は次に景気が悪化したときに打つ手がより少ないことを意味する。

上記のようなプロセスが何カ月にもわたって展開されることは間違いない。そして何らかの変更が生じるたびにパウエル氏は議会や金融市場、市民に対し、FRBとしての理由を説明する必要がある。

02月05日 15時47分 DJ-【焦点】パウエル新FRB議長、待ち受ける4つの課題

 このところの米株式市場の下落は、連邦準備制度理事会(FRB)の新議長に5日就任するジェローム・パウエル氏が直面する4つの課題を浮かび上がらせた。

 低インフレと着実な雇用改善を背景に、ジャネット・イエレン前議長は緩やかな利上げを実施し、米経済の回復や金融市場の快走を支えてきた。この幸運な組み合わせがもはや続かないように見えるなか、パウエル氏は重責を引き継ぐ。

 FRBは昨年、指標とするフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25~1.5%に引き上げ、今年は75ベーシスポイント(bp)の利上げを想定している。パウエル氏はじめFRB幹部がその通りに実行できるどうかは、前方に待ち受ける4つの課題に大きく左右される。

 第1に、景気が過熱したらFRBはどうするのか。持続不能なほどの賃金上昇や、資産価格の一段の高騰などが過熱の明確な兆候となるだろう。株価の下落が続けば投資家は動揺し、より深刻な混乱へと発展する可能性がある。

 直近2度の景気拡大局面は資産バブルの崩壊によって幕が引かれ、2001年と07年にリセッション(景気後退)入りした。

 こうした前例が恐らくパウエル氏の念頭にはあるだろう。同氏はプライベート・エクイティ(PE)投資会社の出身であり、30年ぶりに誕生する経済学博士号を持たないFRB議長だ。パウエル氏はイエレン時代からの継続性を重んじるとみられる。理由の一つはFRB理事として同氏が一貫してイエレン氏の政策に賛成票を投じ、公の場で異議を唱えたことがないからだ。

 調査会社TSロンバードの米国チーフエコノミスト、スティーブン・ブリッツ氏は「彼は低金利資金が市場でどのような働きをするか理解している」と指摘。FRBが2006~07年にバブルに気づくのが遅すぎたのは「インフレを狭義に消費者物価だけで捉えていたためだが、パウエル氏はそんなことはない」と語る。

 米国株は最近調整が入ったとはいえ、年初来では依然として約3%高だ。昨年は25%上昇した。インフレ調整後のPER(株価収益率)は2000年のITバブル時につけた過去最高水準に近づいている。

 住宅価格(インフレ調整後)もバブルが膨らみ始めた2004年の水準に戻っている。

 FRBは銀行規制を強化した。だがバブルによる経済への幅広いダメージを抑える手段はまだ試したことはない。

 ボストン地区連銀のエリック・ローゼングレン総裁は先月のインタビューで、高リターンを追求するあまり幅広い市場で高リスク資産を買う投資家が増えていることが懸念材料だと指摘。それが金融安定性へのリスクとなり、現在の想定よりも利上げが加速する可能性があると述べた。

 第2に、FRBはドナルド・トランプ米大統領が導入する1.5兆ドル(約165兆円)の大型減税にどう対応するかを決める必要がある。

 短期的には企業や消費者の手元資金が増え、設備や住宅などに対する需要を押し上げる可能性がある。減税が人々の労働意欲や企業の投資意欲を喚起すれば、労働者の数や彼らが生産する物・サービスの量が増え、長期的な経済成長率も押し上げると考えられる。

 いずれの結果も、現在の想定を上回る利上げにつながる可能性がある。もしFRB当局者が、減税が需要を押し上げる一方で、経済の潜在力が高まっていないと判断すれば――例えば、物価上昇の勢いが強すぎるなど――借り入れコストをより積極的に引き上げるかもしれない。

 減税によって投資が増え、経済の供給サイドが拡大していると判断すれば、FRBは成長加速を容認することができる。だが潜在成長力が高まることで、いわゆる「中立金利」の水準、つまり低い失業率と安定したインフレ率が両立するレベルが上昇する。そうなればFRBは現在の想定を超える利上げを実施するだろう。  減税による需要拡大で、失業率がFRBにとって居心地の悪い水準まで低下するかもしれない。ゴールドマン・サックスのエコミストは減税効果で失業率は現在の4.1%から今年末には3.5%に低下し、来年は3.3%になると予想。これは1950年代初め以来の低水準だ。

 第3に、インフレ率が目標とする2%を大きく上回るか下回った場合、FRBはどうするのか。

 FRB当局者は堅調な経済と足並みをそろえてインフレ率が2%で推移することを望んでいる。

 過去5年間は物価の上がらない状態が続き、景気拡大に伴う賃金上昇や物価上昇を見込んでいた当局者の首をひねらせた。

 昨春、携帯電話の料金プランなどいくつかの項目で価格が下落し、一連の低調なインフレ指標につながった。FRBは一時的な現象だとの見方を示し、最終的に物価は持ち直した。

 債券利回りの上昇が示すように、投資家の間では物価が今後上昇し、FRBは対応せざるを得なくなるとの見方が広がり始めた。実際、先週開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)後のFRB声明では「さらなる」段階的な利上げが必要になると文言が若干変更された。「さらなる」を加えたのは、経済が回復し、利上げを加速させる状況への確信がわずかに高まったことを示す。

 だが物価圧力が高まり続けることを確実視するのは時期尚早だ。

 今年前半のインフレ率は、前年のインフレ指標が弱まっていただけに前年比で上昇するだろう。ただ、消費者物価指数の大きな部分を占め、ここ数年では異例の伸びを示した住宅価格が冷え込み始めたように見える。

 ソシエテ・ジェネラルのエコノミストは、米労働省の消費物価指数(CPI)でみたインフレ率が今年前半に2.4%に達するが、住宅価格の減速で9月には1.6%に下がると予想する。これ以上インフレの伸びが弱まれば、利上げ見通しが複雑化し、FRBの信頼性に傷つくことになる。

 最後にパウエル氏が直面するのは、従来に比べ利下げ余地がはるかに少ない中で、次の景気悪化にどう備えるかという議論だ。

 FRB内では2%の物価目標を考え直すべきとの声が強まっている。2020年にはFF金利が3%付近に上昇する見通しだが、それでも過去に比べると低水準であることが主な理由だ。つまり政策担当者は次に景気が悪化したときに打つ手がより少ないことを意味する。

 上記のようなプロセスが何カ月にもわたって展開されることは間違いない。そして何らかの変更が生じるたびにパウエル氏は議会や金融市場、市民に対し、FRBとしての理由を説明する必要がある。

出典:Dow Jones(THE WALL STREET JOURNAL)

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