金融危機から10年経過。2018年にドルの下落が終了する理由は?

金融危機2017

金融危機から10年が経過し「過去40年に及ぶドルの下降トレンドは終わった」との声が出ています。

2018年にドルの下落が終了する理由とはいったい…?



金融危機から10年…。2018年にドルの下落が終了?

市場は金融危機以降10年が経過しましたが、これまでドル不足について警告を発してきました。

1999年にユーロが創設され、その後に中国経済が急成長を遂げたことで、ドルがシェアを失うと予想するアナリストは多かった。しかし、ユーロは欧州債務危機の際に政治的に人気を失った。

人民元の場合は、相場を安定させるための資本規制が海外投資家の懸念材料となっている。他方、世界の公的機関の外貨準備に占めるドルの割合は最近下げ止まった。BIS によると、17年4-6月期には、米国以外のドル建て債務が過去最高の8兆6000億ドルに達した。

「過去40年に及ぶドルの下降トレンドは終わった」とアムンディ・パイオニアの資産運用担当者パレシュ・ウパディアヤ氏は語っている。

金融危機10年、ドルは世界の「暴君」に

 米国に端を発した世界金融危機の10年後に、米国以外の世界各地でドルの重要性がかつてないほど高まっているというのは皮肉な話だ。
 
 ドルと覇権争いを演じると期待されたユーロと中国人民元は世界的なシェアを伸ばせずにいる。国際貿易はドル建てが中心という状況に変わりはない。世界の中央銀行の外貨準備に占めるドルの割合は、通貨多様化の動きを背景に低下傾向が続いていたが、今はもう下げ止まった。さらに、日本・ドイツ・フランス・英国の市中銀行の負債は現在、自国通貨建てよりもドル建ての方が多い。
 
 ドルの覇権体制の下で世界が再び試練に立たされている。金融の安定性を高めるはずの規則によって、ドルが早くも調達難に陥っているためだ。それに追い打ちを掛けるように、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の引き締めを通じて国際金融システムからドルを吸収している。
 
 クレディ・スイスのアナリストで短期金融市場に詳しいゾルタン・ポザール氏は米国の動きについて、「『通貨はわれわれのものであり、問題はあなた方のもの』。基本的にはそんな感じだ」と述べた。
 
 市場は金融危機以降、ドル不足について警告を発してきた。投資家や企業がドル調達時に利用するデリバティブ(金融派生商品)取引「クロスカレンシー・ベーシス・スワップ」のスプレッドは急上昇している。エコノミストによると、ドルの貸し借りに支障がない場合、このスプレッドはゼロになる。
 
 四半期末や年末が近づき、銀行がバランスシートをよく見せようとしてドルの貸し出しを絞ると、同スプレッドは拡大する。足元では年末が迫り、3カ月物スプレッドが1年ぶり高水準まで拡大している。
 
 米銀以外の銀行にとってドルの需給逼迫(ひっぱく)は痛手となる。ドル不足がドル調達コストをますます押し上げるためだ。2016年12月にはソシエテ・ジェネラルやUBSグループに大きな影響が出た。

 ソシエテ・ジェネラルは現在、独自に対策を講じており、ドルの調達先をさまざまな市場や投資家に多様化している。
 
 ソシエテ・ジェネラルのグループ財務部門責任者ステファン・ランドン氏は「この点には細心の注意を払っている」とし、「ドルの資金調達方法としてリテールのアクセスが限られているのは確かだ。そのため、ホールセール商品全体のアクセス拡大に取り組んでいる」と述べた。
 
 クレディ・スイスのポザール氏の計算によると、FRBが1000億ドル(約11兆1500億円)を吸収するごとに、クロスカレンシー・ベーシス・スワップ・スプレッドは0.1ポイント拡大する。
 
 FRBは金融危機後の債券買い入れで、バランスシートの規模が4兆5000億ドルまで膨らんだ。今年10月以降は償還金の再投資を毎月100億ドルずつ見送っている。一方、FRBにある米財務省の口座には現金が積み上がっている。また、米国の税制改革が実現すれば、米企業の多額の海外留保利益が本国に還流するとアナリストらは予想している。
 
 これらは全て、ドルが米国以外の地域から流出するということを意味する。国際決済銀行(BIS)の研究では、ドルが不足すると、世界的に融資環境が厳しくなることが明らかになっている。
 
 多くのエコノミストは、第2次世界大戦後、とりわけ1971年のニクソン・ショック(ドルと金の交換停止)後のドルの覇権は終わると以前から予想していた。1999年にユーロが創設され、その後に中国経済が急成長を遂げたことで、ドルがシェアを失うと予想するアナリストは多かった。
 
 だが、ユーロは欧州債務危機の際に政治的に人気を失った。人民元の場合は、相場を安定させるための資本規制が海外投資家の懸念材料となっている。他方、世界の公的機関の外貨準備に占めるドルの割合は最近下げ止まった。BIS によると、17年4-6月期には、米国以外のドル建て債務が過去最高の8兆6000億ドルに達した。
 
 「過去40年に及ぶドルの下降トレンドは終わった」とアムンディ・パイオニアの資産運用担当者パレシュ・ウパディアヤ氏は語った。
 
 ある通貨が支配的な地位を築く状況は、国際金融市場を「平面」として捉え、平均して見れば取引通貨によって投資成績に差が出ることはないとみなしている経済モデルと相いれない。現実はモデル通りにならないことが多い。
 
 トレーダーらは、カリフォルニア大学のベンジャミン・コーヘン教授が描く「ドルを頂点とするピラミッド」を念頭に置いているようだ。富裕国の低金利通貨を借り入れ、それを発展途上国の通貨で運用する有名な戦略「キャリー・トレード」は、毎年多額のリターンを生み出している。
 
 デリバティブ市場では、ドルを足元で売って将来買い戻すことができる人は平均的に利益を上げているが、ドルの調達が急務となっている人は四半期ごとに平均0.9%の損失が出ていると、コメルツ銀行の研究者は指摘する。

 では、ドルの今後の流通量は世界にとって十分なものだろうか。
 
 1950年代以降、ドル流通の責務を果たしているのはユーロドル市場(ロンドンのオフショア市場で、約5兆ドルという規模は他のオフショア融資市場を圧倒する)だ。ユーロドルは、米銀以外の銀行が顧客にドルを貸し出すと創出される。
 
 ただ米銀と異なり、これらの銀行はドルが不足してもFRBからドルを調達することができない。2008年にはドル不足が深刻化したため、FRBが世界市場の救済に乗り出さざるを得なくなり、外国の中央銀行にドルを直接供給した。こうした信用枠は現在も維持されているが、特殊な状況以外には利用されない。
 
 米銀以外の銀行は、大量のドルを必要としている顧客にそれを提供できれば、大きな利益を上げられる。そのため、ロシアやサウジアラビアといった産油国の預金者で収入をドルで得ている人や、外貨準備の積み上げを図る中央銀行を標的にしていると、銀行関係者らは指摘する。
 
 日本の3大メガバンクはこの5年間で海外預金・外貨預金が2倍以上に膨らみ、総額は6000億ドルを超えた。
 
 また、ドル建て長期債を発行できる銀行は、それを魅力的な選択肢と考えている。ダンスケ銀行の財務部門責任者は、ドルのベーシス・スワップ市場で混乱が広がっているため、ドル建ての起債が本来よりも増えていると述べた。トレードウェブのデータによると、ダンスケ銀行が2015年以降に発行した債券の残高の約80%はドル建てだ。
 
 それでも、金融危機後に導入された規制が短期資金の調達コストを押し上げているため、ユーロドル市場に参加している銀行は世界のドル需要を満たすことができないかもしれないと投資家らは述べている。今から10年後、FRBは国際金融システムが再び独り立ちできるか試すかもしれない。
 
 アルハムブラ・インベストメント・パートナーズのグローバル投資責任者ジェフリー・スナイダー氏は、あらゆるシステムの頂点にあるユーロドルシステムが機能しなければ、その他の通貨も機能しないと述べた。

出典:Dow Jones(THE WALL STREET JOURNAL)

 

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