ユーロ圏の今後最大のリスクはユーロ高と政治と債券市場問題

ユーロ圏

最近のユーロ圏の景気回復が、外需というより企業投資や家計支出の力強さに支えられた自律的回復に見えることは朗報と言える。ユーロ高によって、今年後半の域内成長率が圧迫される恐れがあるのは確かだが、ユーロ圏にとって最大のリスクが「政治」ないし「債券市場の緊張再燃」であることに変わりはない。

ユーロ相場に注目している方のために今後のユーロとべいどるの長期見通しをまとめました。



ユーロ圏の今後最大のリスクはユーロ高と政治と債券市場問題

ユーロ圏の現在の景気回復が、外需というより企業投資や家計支出の力強さに支えられた自律的回復に見えることは朗報と言える。ユーロ高によって、今年後半の域内成長率が圧迫される恐れがあるのは確かだ。とはいえ、ユーロ圏にとって最大のリスクが「政治」ないし「債券市場の緊張再燃」であることに変わりはない。

政治面では、18年に総選挙を行うイタリアや、10月にスペインからの独立の是非を問う住民投票を実施するカタルーニャ自治州、英国のEU離脱(ブレグジット)の影響が拡大したりする事態が考えられます。

市場面では、ECBが国債買い入れの段階的縮小に動き、それによって成長の足を引っ張る金融引き締め効果が生じれば、債券市場に再び緊張が広がりかねない。

08月14日 15時46分 DJ-【コラム】ユーロ圏、復活の秘密は「供給改善」

 スペイン経済の目覚ましい回復が始まってからもう4年がたつ。だが当時はこれほどの回復を予想する人はほとんどいなかった。国際通貨基金(IMF)は2013年7月、スペインが1%台の経済成長率を何とか確保できるようになるのは18年以降で、同国の失業率は5年にわたり25%超にとどまると予想していた。
 
 実際には、スペインの景気回復はとっくに始まっていた。14年の成長率は1%を超え、その後はずっと3%超の水準を保っている。その間にスペインでは200万人を超える雇用が生まれ、失業率はピークの26.2%から低下し、現在は8年ぶりの低水準となる17.2%まで改善した。

 同じように、今年のユーロ圏経済がこれほど回復すると予想していた人もごくわずかだった。IMFと欧州委員会はいずれも昨年12月の時点で、ユーロ圏の今年の域内総生産(GDP)成長率を1.5%と予想していた。また、コンセンサス・エコノミクスの調査によると、独立系エコノミストの予想平均は1.3%にすぎなかった。

 それが現在では、エコノミスト予想は1.9%まで引き上げられている。シティグループは予想値を2.2%に引き上げたばかりだが、最近の統計を受けてさらに上方修正する可能性を示唆している。そうした見通しの改善を裏付けるように、ユーロ圏の消費者信頼感指数は01年以来の高水準となり、投資家信頼感指数は07年以来の高さとなった。いまや景気回復の裾野はあらゆる業種・加盟国に広がっている。例えば、フランスの企業景況感指数は6年ぶり高水準を付けた。イタリアでは鉱工業生産指数が6月に1.1%上昇し、市場予想の0.2%上昇を大きく上回った。ギリシャ経済でさえ、今年は0.7%のプラス成長となる勢いだ。

 ユーロ圏の今年の見通しが好転した理由はいくつもある。まず、国際貿易が過去1年で4%増と持ち直し、伸び率が5年ぶりに世界全体のGDP成長率を上回ったことがある。また、安いエネルギー価格と超低水準の金利もユーロ圏に恩恵をもたらしている。さらに、オランダやフランスの選挙で親欧州連合(EU)派が勝利し政治リスクが後退したことで景況感も上向いている。事実、EUの最新の世論調査(ユーロバロメーター)によると、ユーロ圏の一員であることを支持するとの回答が73%と13年ぶり高水準になった。

 もっとも、こうした需要サイドの要因はユーロ圏の経済成長押し上げで一定の役割を果たしたかもしれないが、エコノミストの多くは4年前のスペインの事例と同じように、域内経済の供給サイドの改善が成長押し上げに果たす役割を過小評価していた可能性がある。13年にスペイン経済が好転するきっかけとなったのは、ほぼ同時期にスペインに匹敵するほどの目覚ましい回復を遂げたアイルランドと同様、銀行システム内の不良債権一掃に向けて断固とした措置を取ったことだった。同時に、労働市場や生産市場の野心的な改革に取り組んだことで、より生産性の高い経済部門に資源を再配分することができた。

 同じように、ユーロ圏もこの1年の間に、脆弱(ぜいじゃく)な状態が続くイタリアとポルトガルの銀行部門への対応にようやく乗り出した。両国の銀行システムはいまや資本状況が大幅に改善した上、劣化した債権の再編や売却、償却が進むにつれて不良債権比率は低下している。その結果、ユーロ圏の銀行融資が再び健全な伸びを示し始めていることが欧州中央銀行(ECB)の統計で明らかになっている。イタリアやフランスの労働市場改革といった他の構造改革も、雇用が予想外に力強い回復を遂げている一因かもしれない。現に、フランスの企業景況感指数が足元で急上昇しているのは、同国のエマニュエル・マクロン大統領が今年、さらに思い切った労働市場改革に新たに取り組むとの期待を反映している面が大きい。

 現在の景気回復が、外需というより企業投資や家計支出の力強さに支えられた自律的回復に見えることは朗報と言える。ユーロ圏内の資産への大規模な資本流入が原因とみられるユーロ高によって、今年後半の域内成長率が圧迫される恐れがあるのは確かだ。とはいえ、ユーロ圏にとって最大のリスクが「政治」ないし「債券市場の緊張再燃」であることに変わりはない。政治面では、18年に総選挙を行うイタリアや、10月にスペインからの独立の是非を問う住民投票を実施するカタルーニャ自治州が火種となったり、英国のEU離脱(ブレグジット)の影響が拡大したりする事態が考えられる。市場面では、ECBが国債買い入れの段階的縮小に動き、それによって成長の足を引っ張る金融引き締め効果が生じれば、債券市場に再び緊張が広がりかねない。

 それもそのはずで、ユーロ圏が中期的に取り組まなければならない最大の課題は、一部加盟国の債務の持続性に対する懸念を取り除くことにある。ECBという「防波堤」がなくなれば、そうした懸念が再び頭をもたげてくるかもしれない。ユーロ圏の景況感が上向きつつあるのは、広く予想されている統合深化に向けた取り組みが域内債務のプール化に向けた動きにつながるのではないか、という過剰な楽観論を反映している面もある。債務のプール化は、国債がインフレリスクに加え、信用リスクや為替リスクも内包していることを警戒する投資家に対応した措置と受け止められよう。

 ただ、スペインとユーロ圏全体の景気回復から学んだことは、債務の持続性を巡る懸念に対処するには、債務のプール化以外の方法もあるということだ。加盟国レベルやユーロ圏レベルで供給サイドの改善に向けてできることはまだたくさんある。国境を越えた資本移動や投資を促す措置もその1つだ。そうした改善に取り組めば、目先の成長率を押し上げることができるばかりか、インフレを引き起こさずに成長できる水準を高めることができ、ECBとしても利上げを温存することが可能になる。最終的にはその成否がユーロ圏の長期の頑健性を左右するかもしれない。

出典:Dow Jones

 

【追記】2017年9月1日

ECB当局者がユーロ高懸念、量的緩和縮小はまだ先か?

ロイター通信によると、対ドルでの急激なユーロ高を懸念する欧州中央銀行(ECB)当局者が増えており、資産買い入れ縮小が緩慢なペースとなる可能性が高まっている。事情に詳しい関係筋がロイターに明らかにした。

関係筋によると、2017年末までを期限としている量的緩和に関する討議は始まったばかりで、9月7日の次回理事会で何らかの決定をする可能性は非常に低いとのこと。

この影響でユーロ相場もユーロ安へと今後大きく動きそうな気配です。

08月31日 19時38分 ECB当局者が急激なユーロ高懸念、量的緩和縮小が緩慢となる可能性、関係筋=ロイター

ロイター通信によると、対ドルでの急激なユーロ高を懸念する欧州中央銀行(ECB)当局者が増えており、資産買い入れ縮小が緩慢なペースとなる可能性が高まっている。事情に詳しい関係筋がロイターに明らかにした。

関係筋によると、2017年末までを期限としている量的緩和に関する討議は始まったばかりで、9月7日の次回理事会で何らかの決定をする可能性は非常に低い。

ユーロ高がインフレを抑制し、輸出への影響から成長を阻害することを懸念する一部当局者から、資産買い入れペース縮小を急速なものではなく緩慢なペースで行うことを求める圧力が高まっているという。

出典:FXニュースレター

09月01日 06時11分 DJ-【市場の声】ECB、金融緩和解除の決断引き延ばす可能性も

ノルデアの欧州担当チーフアナリスト、ホルガー・サンデ氏は、欧州中央銀行(ECB)が経済動向の分析にまだ時間をかけ、10月を待ってから新たな政策措置を示す可能性がある、とみている。

 8月はユーロ圏のインフレ率が市場予想をやや上回った。それでもサンデ氏によると、ECBは2%弱のインフレ目標を達成できる環境を整えるため、極めて緩和的な金融政策姿勢を「可能な限り長く」維持したいと考えている。

 サンデ氏は9月のECB政策理事会について、10月に決断する見通しを示唆することで段階的な金融緩和解除に向けて市場参加者に心の準備を促すだろうと述べた。

出典:Dow Jones

 

【追記】2017年9月2日

今後はユーロ高の局面では「ユーロ高けん制発言」が増える見通し

ユーロ相場はオーストリア中銀総裁発言を受け1.20ドル台直前まで上昇したが、一部通信社が「ECBは12月までにテーパリング計画を完全には準備出来ない可能性がある」などとのECB関係筋発言を報じたことにより、急反落に転じた。

今後は、ユーロ上昇局面では、関係者からの「ユーロ高けん制発言」が増える見通し。

09月01日 23時38分 ECB関連報道受け、ユーロは激しい上下動=1日NY外為

ユーロ相場は、ECB関連報道を受けた激しい上下動を継続。オーストリア中銀総裁発言を受け1.19ドル台前半に切り返し、米雇用統計発表後には1.19ドル台後半に続伸し1.20ドル台乗せを窺う展開となったが、一部通信社が「ECBは12月までにテーパリング計画を完全には準備出来ない可能性がある」などとのECB関係筋発言を報じたことにより、急反落に転じた。市場では、今後も、ユーロ上昇局面では、かかるユーロ高けん制の為の報道が報じられる公算が大きいとの声が出ている。

出典:FXニュースレター

 

ユーロ関連記事

 → ユーロ高の原因は何?謎のユーロ高の2つの理由を解説します

 → 2017年ジャクソンホール会議の注目はECBドラギ総裁発言

 → ユーロ高なぜ?経済指標やECB発言無しで謎の上昇いつまで続く

 → 【急騰】ユーロ高円安、早朝から3円以上ユーロ高の原因は何?

 → ECBドラギ総裁 量的緩和段階的縮小(テーパリング)へ

 → ドラギECB総裁タカ派発言でユーロ円は1年ぶり高値更新

【ドル円相場予想】関連記事

 → ドル円の中長期見通しと投資運用戦略プラン

【豪ドル円相場予想】関連記事

 → 豪ドル円、豪ドル米ドル相場の長期見通し-日足チャートで解説

 → 豪ドル円の中長期見通しと投資運用戦略プラン

【ポンド相場予想】関連記事

 → 【自信あり】ポンドドル予想 チャート推移から長期見通し判明

【ユーロ相場予想】関連記事

 → ユーロドルの中長期見通し ユーロドルがおすすめの2つの理由

 

 

 

スポンサーリンク

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*