
ユーロ圏の弱い経済指標の影響で年内はユーロ安が続く見通しです。
目次
■ユーロ圏の弱い経済指標の影響で年内はユーロ安続く見通し
シティグループによると、ユーロ圏の弱い経済指標がユーロ相場の弱気見通しを浮き彫りにしているため、当面はユーロに対する売り圧力となり、ユーロ安相場が続くと予想しています。
26日の議会証言でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏の経済はいくらか鈍化しているものの、依然として正常な動きであり、ECBの現在の政策方針に変更はない、との見方を明らかにしましたが、好調な年初来の景況からは大きく変化しています。
少なくとも2018年内はユーロ安相場が続くのではないか?と予想されます。
ユーロ相場への圧力、当面続く見通し
シティグループは、ユーロ圏の弱い経済指標がユーロ相場の弱気見通しを浮き彫りにしているため、当面はユーロに対する売り圧力が続くと予想している。
イタリアの財政懸念は和らいだが、こうした状況がユーロを圧迫し続けていると言う。同行はまた、米国が20カ国・地域(G20)首脳会議後に自動車関税を課す可能性について懸念が高まっていることも、ユーロ相場の圧力になっていると指摘している。
出典:Dow Jones(THE WALL STREET JOURNAL)
ECB、金融正常化に向けた取り組み難しい局面に ユーロ圏景況感 予想以上の低下続く
金融正常化に向けて取り組んでいるECB(欧州中銀)が予想通りのペースで実行できるか難しい局面に差し掛かってきた。ユーロ圏経済が下向きトレンドが続いていることが背景にある。
26日の議会証言でECBのドラギ総裁は、ユーロ圏の経済はいくらか鈍化しているものの、依然として正常な動きであり、ECBの現在の政策方針に変更はない、との見方を明らかにした。また、ラウテンシュレーガー専務理事(タカ派)は、ユーロ圏の経済成長はECBの予想通りの歩みとなっており、QEを終わらせる計画に変更はない、との見方を示した。また、ECBが来年利上げを開始することにも自信を見せたが、経済指標に依存しているとも発言している。
このように金融当局のトップがユーロ圏経済の動きが念頭に入り始めていることを示している。好調な年初来の景況からは大きく変化している。IFO景況指数が失望的な数値になった中でも売られた。
ユーロ圏景気が失速しているのは、最近の発表される景気指標を見ても明らかだ。23日発表のユーロ圏11月PMI(購買担当者指数)速報値に続いて、26日発表のドイツ11月IFO景況指数は予想以上に低下した。総合は102.0に落ち込み、コンセンサス予想の102.3を割り込んだ。期待指数も98.7(コンセンサス予想99.2)に悪化した。ほぼ予想通りの現況指数も105.4(コンセンサス予想105.3)に低下した。出典:FXニュースレター
■ ECB予定通り資産買い入れ策を12月に終了 ユーロ安いつまで続く?
ECBのドラギ総裁は11月8日の会見で、予定通り資産買い入れ策を12月に終了すると発言しました。
これにより、ユーロ安はいつまで続くのか?に注目が集まっています。
現在のユーロドル相場は、イギリスEU離脱問題の影響で、1ユーロ=1.10ドルまで下落の見通しです。
今後は、2018年秋に向けてややユーロ高となり、12月上旬には一時1.1510ドルまで再度上昇すると予想しますが、再び2018年末にかけてユーロ安となり、2019年1月頃には1.100ドルへ向かうのではないかと予想が出ています。
→ ECB予定通り資産買い入れ策を12月に終了 ユーロ安いつまで続く?
■ユーロは2017年上昇、2018年下落…2019年の中長期見通しは?
ブランディワイン・グローバルの債券部門ポートフォリオマネジャー、ブライアン・ギリアーノ氏は、ユーロ相場が今後1~2年に上昇する可能性が高いとの認識を示しています。
昨年(2017年)はユーロ圏経済の成長加速の兆しを受けて、投資マネーが戻るとの見方が強くユーロ相場は2017年は上昇を続けました。
しかし、2018年のユーロ相場は2月以降下落に転じました。
そして、まだ2018年末にかけてはユーロ安が続きそうです。
■ユーロドル2018年末は下落の見通し?
上図のユーロ/ドルの日足チャートを見て下さい。
2018年は12月上旬には一時1.1500ドルまで再度上昇し、2018年末にかけて再びユーロ安となり、2019年1月頃には1.100ドルへ向かうのではないかと予想します。
→ ユーロ安いつまで続く?2018年末に1.10ドルへ下落の見通し?
■イタリア・ドイツ・イギリスEU離脱問題…
為替相場ではユーロ安につながる材料として、イタリアの財政赤字問題が引き続き警戒されています。
さらには、ドイツのメルケル政権が地方選で連敗していることで連立政権の崩壊リスクも懸念され始めており、イギリスのEU離脱によるEUとの最終交渉の行方も、ユーロ安の材料になりかねない状況が続いており、当面はユーロ安材料一色という状況です。
しかし、2019年は…、
■2019年の中長期見通しはユーロ高?
近年のユーロ相場のトレンドとして下記のようなアノマリー要素も存在しています。
下図のユーロドルの週足チャートをご覧下さい。
今後のユーロドルの相場変動のトレンドとしては、上手の「水色」の斜めに引いた補助線にご注目下さい。
上記のチャートを見ると、
- 2008年は1.60ドルから1.25ドルへ「0.35ドル」の下落
- 2010年は1.50ドルから1.20ドルへ「0.30ドル」の下落
- 2012年は1.35ドルから1.20ドルへ「0.15ドル」の下落
- 2014年は1.40ドルから1.05ドルへ「0.35ドル」の下落
- 2016年は1.15ドルから1.03ドルへ「0.12ドル」の下落
というように、西暦の末尾1桁が偶数の年は大きな下落相場が展開されています。
逆に、西暦の末尾1桁が奇数の年では急上昇相場が起きています。
- 2009年は1.25ドルから1.50ドルへ「0.25ドル」の上昇
- 2011年は1.30ドルから1.50ドルへ「0.2ドル」の上昇
- 2013年は1.30ドルから1.40ドルへ「0.1ドル」の上昇
- 2015年は1.05ドルから1.15ドルへ「0.1ドル」の上昇
- 2017年は1.03ドルから1.20ドルへ「0.17ドル」の上昇
このように、ユーロドルの値動きは非常に激しく、毎年大きな変動が起きています。
→ 2018年は2年に一度のユーロ相場の大暴落が起こる?
これを見ると、2019年は上昇トレンド?と予想されます。
→ ユーロドル2019年の中長期見通し 下落相場終わり、ユーロ高へ?
■2019年のユーロ円の予想は?
ユーロドルの下落が予想される中、ユーロ円も2018年は下落相場が予想されます。
ユーロ円の場合、ドル円相場の影響が大きいので、ユーロ/ドル相場と全く同じ動きにはなりませんが、ユーロドルの下落相場が続くようであれば、当面の高値は132~133円程度と見て、今後中長期的には、125円割れの展開になると予想します。
2019年以降は、ドル円にドル安円高相場の予想があるため、ユーロ円はユーロ高ドル安になるのではないかと予想されています。
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