イギリスのユーロ懐疑・離脱派はユーロ圏の崩壊を予想

ユーロ崩壊

イギリスのユーロ懐疑・離脱派はユーロ圏の崩壊を予想していた。ユーロ圏は崩壊する運命にあると警告し続けて25年。こうしたユーロ崩壊説は、イギリスの欧州連合(EU)離脱派がそうすべき根拠の1つとして挙げていた。



イギリスのユーロ懐疑・離脱派はユーロ圏の崩壊を予想

イギリスのユーロ懐疑・離脱派は、その導入前から崩壊を予想していた。ユーロは崩壊する運命にあり、「出口のないビ ルで火災が起きているようなもの」と警告し続けて25年になる。こうしたユーロ崩壊説は、イギリスの欧州連合(EU)離脱派がそうすべき根拠の1つとして挙げていた。ユーロ圏 が生き延びる唯一の方法は「超国家」に転換することだと主張する人もいた。ユーロ懐疑派からすれば、共通債 と財政移転機能を備え、国家主権をないがしろにする超国家など悪夢でしかない。

かつて、ユーロ圏という「鎖」の中で特に弱い「輪」とされたポルトガルだが、今年の経済成長率は2.8%に達する見通しで、失業率も9%程度まで改善するなど、安定感を増しつつある。ポルトガルが立ち直ったことで、ユーロは崩壊が不可避ではなく、ユーロ圏が超国家に転換しなくても存続できる、ということを再認識させられた。同様に、不均衡状態が続くイギリスの姿からも思い知らされたことがある。通貨の柔軟性は、それによって政府が難しい判断を先送りできるのであれば毒にもなり得るということを。

09月22日 12時19分 DJ-【コラム】イギリスのユーロ懐疑派、ポルトガルに学ぶべきこと

 英国のユーロ懐疑派は、その導入前から崩壊を予想していた。ユーロは崩壊する運命にあり、「出口のないビ ルで火災が起きているようなもの」と警告し続けて25年になる。

 こうしたユーロ崩壊説は、英国の欧州連合(EU)離脱派がそうすべき根拠の1つとして挙げていた。ユーロ圏 が生き延びる唯一の方法は「超国家」に転換することだと主張する人もいた。ユーロ懐疑派からすれば、共通債 と財政移転機能を備え、国家主権をないがしろにする超国家など悪夢でしかない。

 この数年はユーロ崩壊説にとって不利な材料がいくつも出ており、先週もまた新たに1つ浮上した。S&Pグローバル・レーティングがポルトガルのソブリン格付けを投資適格級に引き上げたのだ。それに伴い、10年物のポ ルトガル国債相場は急上昇し、利回りは2016年1月以来の低水準となる2.53%へ急低下した。ユーロ圏諸国と国 際通貨基金(IMF)への救済要請を余儀なくされた深刻な金融危機から立ち直りつつあるポルトガルが、また重要な一歩を刻んだ格好だ。ユーロ圏という「鎖」の中で特に弱い「輪」とされたポルトガルだが、今年の経済成長率は2.8%に達する見通しで、失業率も9%程度まで改善するなど、安定感を増しつつある。

 経済的な観点から言うと、英国の懐疑派(自称「保守派」が中心)がこれほどユーロを毛嫌いする理由は謎だ。保守派は通常、健全財政をよしとする。繁栄の鍵は生産性を向上させる方法を見いだすことにあり、通貨切り下げや赤字支出、金融緩和といった小手先の技では繁栄を実現できないとの立場だ。

 現に英国の保守派の多くはかつて、ジョージ・オズボーン前財務相が厳しい財政目標の達成をあっさり断念したことや、イングランド銀行(中央銀行)が量的緩和に踏み切ったことを批判していた。ところが、こうした保守派は欧州大陸に目を向けた途端に内なるケインズ主義が目覚め、ユーロ圏が苦境に陥っている原因は通貨切り下げや赤字支出ができないことにあると批判し始めた。

 ポルトガルはむしろ、英国の保守派には夢見ることしかできない「V字回復」を実現している。ポルトガルの財政赤字は、2012年時点で国内総生産(GDP)比9%に上っていたが、16年にはわずか同1.5%まで縮小した。英国の場合、17年3月までの1年間の財政赤字は同2.4%だった。経常収支については、ポルトガルが6%の赤字から0.7%の黒字に転換したのに対し、英国は4.4%の赤字だ。さらにポルトガルは輸出がGDPに占める割合も29%から45%に伸びた。英国はこれが28%にとどまる。

 ポルトガルは、債務の共通化や財政統合どころか、通貨切り下げの助けすら借りずに以上のことを成し遂げた。ポルトガルの復調はサプライサイド(供給側)改革の断行によるところが大きい。同国よりも経済見通しの好転が著しかったアイルランドとスペインの例と同じだ。

 英国の保守派がこうしたユーロ圏の景気回復に気づかなかったのは、実際には自分たちが思っているほど保守的ではないからだ。英国の政治的な記憶に焼き付いているのは、歴代政権が英ポンドの価値を守るのに何度も失敗した姿である。1920年代は金に対して、60年代~70年代はドルに対して、90年代はドイツマルクに対して、ポンドは減価した。英国のエリート層が経済史から得た教訓は、経済を成功に導くには為替の柔軟性が重大要素になるということだ。それが顕著に表れたのが、1932年に金本位制の停止を決めた後や92年に欧州為替相場メカニズム(ERM)から離脱した後の景気回復だった。

 だが、今やそれが間違った教訓であることは明らかなはずだ。例えば、ポンドは2008年のほか、昨年EU離脱が決まった後にも急落したが、英国の経常収支は期待されたほど改善しなかった。

 1932年と97年の通貨切り下げ後の景気回復を支えた主な要因は、ポンド安ではなく、信用状況が大幅に改善したことにあった。32年は金本位制の構造上、97年は(ポンドの価値というより)ERMの一員となったポンドの防衛に必要だった高金利の影響で、信用状況が逼迫(ひっぱく)していた。

 英国のユーロ懐疑派の主張と異なり、ユーロ圏が金本位制のように崩壊しなかったのは、欧州中央銀行(ECB)という「共通中央銀行」がいたおかげで信用の流れを維持できたからだ。ECBは加盟国が混乱なく債務を圧縮できるよう低金利で大量の資金を供給した。

 だからといって、ユーロ危機の間に失政はなかったと言っているわけではない。そうした失政がポルトガルなどの危機を必要以上に悪化させたのは事実だ。

 ユーロ圏の銀行システムが抱えていた問題は解決までに時間がかかりすぎた。ECBが策を講じても信用の流れは滞ったままだったのだ。財政破綻に陥った加盟国の非効率性も足を引っ張った。これら諸国は不良債権の再編を先送りし続け、信用の流れをさらに阻害している。

 ECBはさらに、賃金などの相対物価を引き下げて競争力の回復を目指す構造改革が、デフレ的な影響を及ぼしていることに気づくのも遅すぎた。結果として、ECBが重い腰を上げて量的緩和を導入するまで、実質金利は高止まりし経済成長を圧迫した。

 ポルトガルもユーロ圏もまだ危機を脱していない、というのが大方の見方だろう。

 ポルトガルは経済見通しが改善しているといっても、官民が多額の不良債権を抱えているため、ひとたびショックを受ければ甚大な影響が及ぶだろう。長期債務の持続性に対する懸念を払拭(ふっしょく)するには、ポルトガルも多くのユーロ圏諸国と同じように生産性をさらに高めなければならない。

 それでも、ポルトガルが立ち直ったことで、ユーロは崩壊が不可避ではなく、ユーロ圏が超国家に転換しなくても存続できる、ということを再認識させられた。同様に、不均衡状態が続く英国の姿からも思い知らされたことがある。通貨の柔軟性は、それによって政府が難しい判断を先送りできるのであれば毒にもなり得るということを。

出典:Dow Jones

【まとめ】イギリスのユーロ懐疑・離脱派はユーロ圏の崩壊を予想

イギリスのユーロ懐疑派はユーロ圏の崩壊を予想していた。ユーロ圏は崩壊する運命にあると警告し続けて25年。こうしたユーロ崩壊説は、イギリスの欧州連合(EU)離脱派がそうすべき根拠の1つとして挙げていた。ユーロ圏 が生き延びる唯一の方法は「超国家」に転換することだと主張する人もいた。ユーロ懐疑派からすれば、共通債 と財政移転機能を備え、国家主権をないがしろにする超国家など悪夢でしかない。

かつて、ユーロ圏という「鎖」の中で特に弱い「輪」とされたポルトガルだが、今年の経済成長率は2.8%に達する見通しで、失業率も9%程度まで改善するなど安定感を増しつつある。ポルトガルが立ち直ったことで、ユーロは崩壊が不可避ではなく、ユーロ圏が超国家に転換しなくても存続できる、ということを再認識させられた。同様に、不均衡状態が続くイギリスの姿からも思い知らされたことがある。通貨の柔軟性は、それによって政府が難しい判断を先送りできるのであれば毒にもなり得るということを。

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