
ユーロ圏では、イタリアとドイツの連立政権による政治リスクがあり、2018年は長期ユーロ安トレンドと予想されます。
イタリアでは、2018年3月4日のイタリア総選挙の結果、ハングパーラメントの状態となり、ユーロ安へ。
ドイツでも総選挙の結果、連立協議を余儀なくされ、ドイツ政治リスク懸念でユーロ安となりました。
【追記】2018年5月29日
目次
■イタリア2018年秋にユーロ圏離脱を問う総選挙(国民投票)か?
イタリアのマッタレッラ大統領は28日、国際通貨基金(IMF)元高官のカルロ・コッタレッリ氏を暫定首相に指名し、組閣を命じました。
ただ、五つ星と同盟が多数派を占める議会の信任を得られる可能性は低いため選挙管理内閣にとどまり、2018年秋にも議会解散・総選挙となる可能性が高い見通しです。
これによりイタリア連立政権は誕生せず、今後、ユーロ圏離脱の国民投票(総選挙)開催が予想されており、今後のユーロ見通しはどうなるのか?注目が集まっています。
→ イタリア2018年秋にユーロ圏離脱を問う総選挙(国民投票)か?
【追記】2018年5月28日
イタリア再選挙か?ユーロ圏離脱方針が原因で連立政権組閣断念へ
イタリアの「五つ星運動」と極右「同盟」が連立政権誕生に向けて指名した新首相のコンテ氏は、組閣作業を進めたが、イタリア大統領により「ユーロ圏離脱の方針」が却下されたことで、首相を辞退。
これによりイタリア連立政権は誕生せず、今後、ユーロ圏離脱の国民投票開催の動きも予想されており、今後のユーロ見通しはどうなるでのか?注目が集まっています。
→ イタリア再選挙か?ユーロ圏離脱方針が原因で連立政権組閣断念へ
【追記】2018年5月19日
イタリア「五つ星運動」と「同盟」が連立政権合意 今後ユーロはどうなる?
イタリアの「五つ星運動」と極右「同盟」は5月18日、連立政権樹立に向けた政策で合意しました。
しかし、イタリアの「五つ星運動」と「同盟」の両党は、いずれも欧州連合(EU)に懐疑的な姿勢を示してきており、今後、ユーロ圏離脱の動きが噂されており、今後ユーロがどうなるのか?に注目が集まっています。
→ イタリア「五つ星運動」と「同盟」が連立政権合意 今後ユーロはどうなる?
■イタリア・ドイツ政治リスクで2018年は長期ユーロ安トレンドか?
イタリアの国債や株式は今週、大きく売り込まれた。
その背景には、反エスタブリッシュメント(既存勢力)を掲げる新政権の誕生により、財政支出と公的債務をめぐってイタリアが欧州連合(EU)と衝突しかねないというイタリアの政治リスク懸念がある。
10年物のイタリア国債とドイツ国債の利回り格差は1月以来で最大の1.5%ポイントに拡大した。
欧州市場に生じた逆回転、再び政治リスクの影
欧州の投資家は昨年、現実にならなかった政治的リスクを心配し、期待していなかった経済成長に驚かされた。今年は、そうした幸運とは真逆の状況になり始めているようだ。
イタリアの国債や株式は今週、大きく売り込まれた。その背景には、反エスタブリッシュメント(既存勢力)を掲げる新政権の誕生により、財政支出と公的債務をめぐってイタリアが欧州連合(EU)と衝突しかねないという懸念がある。10年物のイタリア国債とドイツ国債の利回り格差は1月以来で最大の1.5%ポイントに拡大した。
イタリアの政治リスクに奇妙なほど冷静に対処してきた欧州市場に激震が走った格好だ。現在のムードは、昨年5月にエマニュエル・マクロン氏がフランス大統領に就任し、ポピュリズム台頭に関する懸念が後退した時とは対照的だ。マクロン氏の当選で盛り上がったユーロ圏改革への機運はすでに弱まっているが、イタリア政界がさらに波風を立てれば、それが一段と弱まるかもしれない。
一方で、2017年の欧州市場に活況をもたらした経済成長の力強さも失われつつある。ユーロ圏経済のけん引役であるドイツの成長にブレーキがかかったこともあり、第1四半期のユーロ圏の成長率は年率1.6%に減速した。
これは緩やかな減速局面だという見方も依然としてあるが、各種の経済指標から改善の兆候は示されていない。シティグループが算出する「エコノミック・サプライズ指数」(経済指標の予想と実績のかい離を指数化したもので、実績が予想を上回れば上昇し、下回れば下落する)は深いマイナス圏に沈んでいる。
欧州にとっては慣れ親しんだ状況に戻っただけなのかもしれない。2017年の堅調な経済成長が鈍化することはほぼ確実視されていた。また、経済成長がユーロ圏の根本的な問題を覆い隠していたという見方もできる。それでも、現在の環境は投資家にとってより不透明で不快な環境と言えるだろう。
出典:FXニュースレター
■ 2018年はユーロ安トレンド?週足チャートから分析
下のユーロドルの週足チャートを見て下さい。
今後のユーロドルの相場変動のトレンドとしては、上手の「水色」の斜めに引いた補助線に注目して下さい。
かなりざっくりとした大局的な予想になりますが、1.28ドル辺りを天井にして、大きなレンジ相場を形成する展開が予想できます。長期的には下落相場トレンドとなり、2018年に限って言えば、1.15ドル辺りへの半値戻し程度は手堅い線かな?と予想します。
上記のチャートを見ると、
- 2008年は1.60ドルから1.25ドルへ「0.35ドル」の下落
- 2010年は1.50ドルから1.20ドルへ「0.30ドル」の下落
- 2012年は1.35ドルから1.20ドルへ「0.15ドル」の下落
- 2014年は1.40ドルから1.05ドルへ「0.35ドル」の下落
- 2016年は1.15ドルから1.03ドルへ「0.12ドル」の下落
というように、西暦の末尾1桁が偶数の年は大きな下落相場が展開されています。
逆に、西暦の末尾1桁が奇数の年では急上昇相場が起きています。
- 2009年は1.25ドルから1.50ドルへ「0.25ドル」の上昇
- 2011年は1.30ドルから1.50ドルへ「0.2ドル」の上昇
- 2013年は1.30ドルから1.40ドルへ「0.1ドル」の上昇
- 2015年は1.05ドルから1.15ドルへ「0.1ドル」の上昇
- 2017年は1.03ドルから1.20ドルへ「0.17ドル」の上昇
このように、ユーロドルの値動きは非常に激しく、大きな変動が起きています。
→ 2018年は2年に一度のユーロ相場の大暴落が起こる?
ユーロドル売りを強くおすすめする2つの理由
最近のユーロドル相場は、ドル全面安の流れの中でドル売りユーロ買いが進みユーロ高となっている状態です。
今後のユーロドル相場ですが、私はユーロドルとポンドドルの売りを強くおすすめします。その理由として、
- 今後の見通しとして長期的な下落相場が期待できる
- スワップが高くて魅力的
という2つの理由があります。
今後ユーロ安ドル高になる理由は?
今後ユーロ安ドル高になるのではないか?と予想する理由は、
- ユーロ圏の利上げは2019年まで据え置かれる見込み
- 2017年のユーロ相場はファンダメンタルズ以上の過剰なユーロ高
という印象があり、2018年にはその過剰なユーロ高の調整局面となり、ユーロ安になるのでは?というのが予想理由です。
実態よりも、上がりすぎの感があるユーロ。
2018年のユーロ予想は、やはり長期的なユーロ安ドル高です。
では、次にチャートを見ながら、いくらぐらいまでユーロ安ドル高が進むのか理由とともに説明します。まずは、ユーロドルの値動きから見ていきましょう。
下のユーロドルの日足チャートを見て下さい。
現時点では天井がいくらぐらいになるか予想が難しいですが、先程、週足チャートを使って予想したように、1.28ドル辺りを天井にして下落相場となる予想です。
現時点の高値、1.25ドル台を維持するのであれば、2月中旬ぐらいには下落トレンドとなり、早ければ4月下旬に一度1.15ドル台をつけるのではないかと予想します。
私自身、含み損を抱えているので、今は待ち相場です…。
【まとめ】イタリア・ドイツ政治リスクで2018年は長期ユーロ安トレンドか?
2018年3月4日のイタリア総選挙結果では、どの政党も過半数議席を握ることのできない「ハングパーラメント(宙づり議会)」になり政治混乱が不安視されています。
昨年2017年のユーロ圏での選挙においては、
- 2017年6月 イギリス総選挙 → ハングパーラメント → ポンド安
- 2017年9月 ドイツ総選挙 → 連立協議へ、極右政党躍進 → ユーロ安
- 2017年10月 スペイン カタルーニャ州の独立宣言 →ユーロ安
と、ユーロやポンドなどの為替相場が大きく下落しました。
ハングパーラメントと言えば、2017年6月のイギリス総選挙でメイ首相が大敗し「ハングパーラメント」となり、ポンドは大幅安へ。その後、イギリスだけでなくユーロを巻き込む大混乱となりました。
→ ポンド安へ イギリス総選挙ハングパーラメントでメイ首相大誤算
ドイツでは総選挙の結果、連立協議を余儀なくされ難航。ユーロ安となりました。
→ ドイツ選挙2017で極右政党「ドイツのための選択肢AfD」躍進
スペインでは、独立宣言したカタルーニャ州の問題が長期化しています。こちらもユーロ安要因となりました。
→ ユーロ混乱 スペインカタルーニャ州の独立宣言どうなる?
イタリア総選挙の結果もハングパーラメントとなり、今後のイタリア政治の混乱が予想され、ユーロ経済や為替市場への影響が注目されています。
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