ECBドラギ総裁はテーパリングかんしゃく起こさずに実現目指す

ECBテーパリング

ある有識者が「ドラギ総裁は『かんしゃく』を引き起こすことなくテーパリングを実現しようとしている」とし、「だからこそ、ユーロ圏の物価動向が『かんしゃく』を起こしそうに見えることを踏まえ、ECBは(総裁の講演の)翌日に火消しに動いたのだと思う」と述べました。

最近の為替相場は、中銀関係者の発言を裏読みしすぎて、全く意図しない方向への急変動を起こしている気がします。

その辺の事情と現実問題について詳しく解説します。



ECBドラギ総裁はテーパリング 市場は深読みしすぎ?

クレディ・スイス・グループの欧州経済部門責任者を務めるネビル・ヒル氏は、ドラギ総裁については一般に言われているように高いコミュニケーション能力があるとの認識を共有する一方、カーニー総裁については誤解されているだけだとの見方。

「ドラギ総裁は『かんしゃく』を引き起こすことなくテーパリングを実現しようとしている」とし、「だからこそ、ユーロ圏の物価動向が『かんしゃく』を起こしそうに見えることを踏まえ、ECBは(総裁の講演の)翌日に火消しに動いたのだと思う」と述べた。

07月03日 11時08分 DJ-【コラム】中銀への視線、発言深読みでなく行動見極めを

 中央銀行関係者というものは、インフレ目標を達成するために市場を操作する「ひねくれた天才」なのだろうか。あるいは、当たり障りのない発言をしても、中銀関係者は聡明(そうめい)だと信じ切っている投資家から拡大解釈されてしまう「不注意な元学者」なのだろうか。
 
 この問いの重要性はますます高まっている。今は投資家が世界的な金融緩和の最終局面を何とか乗り切ろうとしているためだ。しかも先週見られた為替相場の乱高下は、中銀関係者による当たり前の発言を市場がいかに曲解しやすいかを物語っている。
 
 最初の誤解は27日にポルトガルのシントラで起きた。欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は当地での講演で金融政策の微妙な違いについて語ったが、トレーダーらは講演の大部分を無視し、一部の発言だけを取り上げて総裁がタカ派に転向したと結論づけた。この講演後、ユーロはドルに対して1.4%もの大幅高となった。
翌日にECB幹部らがこの解釈を否定すると、ユーロは0.01ドル近く反落したが、その後に再び切り返し、下げ幅を全て解消した。ドイツ国債利回りも同様に乱高下した。
 
 英イングランド銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁は28日、投資と賃金が上向けば利上げを支持すると発言。これを手掛かりに、英ポンドはドルに対して1%上昇した。この発言はごく一般的なものであるばかりか、総裁の過去の発言内容とも一致していた。

 これらの発言が金融引き締めを市場にそれとなくほのめかすためのものだったのかどうかは非常に重要だ。その答えが「イエス」であると信じるには、「中銀関係者が政策引き締めを望んでいた」という仮定と、「中銀関係者にはそれを絶妙な形でほのめかす能力があった」という仮定が必要となる。
 
 英中銀とECBのどちらもすでに、政策姿勢はもう緩和方向には傾いていないと明確にしている。両者が引き締め方向にさらに傾くと考えられる理由は幾つかある。まず、両行としては、引き締めで先行しているFRBに後れを取るわけにはいかない。また、利上げしても市場が驚かないよう地ならしをしておきたい。さらに、近ごろ複数の中銀幹部が公然と警戒感を表明している市場の熱狂を抑えたい。
 
 これと比較すると、両行に引き締めをうまくほのめかす能力があったと信じるのは難しい。ドラギ総裁とカーニー総裁がタカ派と受け止められたのは、現行の政策をできるだけ明確に説明した講演の中での発言の一部が切り取られたためだった。中銀関係者は、常に自分たちの発言に注目してくれている中銀ウォッチャーでなく、むしろ市場のトレーダーの敏感さに順応する必要がありそうだ。中銀ウォッチャーはまず、このどう見ても無難な発言が従来の立場を繰り返したに過ぎないと受け止めていた。
 
 ドラギ総裁の27日の講演は、実は市場の反応を見るための観測気球で、誤解されたわけでは全くなかったとすれば、「ひねくれた天才」が本領を発揮したことになる。そうだとすれば、ドラギ総裁とカーニー総裁は投資家が金融引き締めをどれだけ警戒しているかを知りたいがために、まずは試しにあいまいな言葉を発し、後からそれは誤解されていると知らせることで警戒を和らげるという手段に出たことになる。
 
 投資家からすれば中銀に注目するよりほかない。お金の価格である金利を決めるのは中銀だ。他の全ての価格は金利によってある程度決まる。経済に何が起きるか、そして中銀がどう対応するかを突き止めるのに多くの時間が費やされているのは当然だ。その努力の大半は無駄になるとしてもだ。

 欧州市場は特に敏感になっている。ECBの債券買い入れが終わりに近づいているほか、英中銀の6月の政策金利据え置きが予想外に僅差の判断となったためだ。FRBは2013年、債券買い入れを近いうちに終えようとしていたが、情報発信のまずさ(あるいは市場の誤解)のせいで「テーパリングかんしゃく」を引き起こしてしまった。
その結果、10年物の米国債利回りは2カ月間で1ポイント超も上昇(価格は下落)した。ECBと投資家は当時のような債券相場の急落を警戒している。

 とはいえ、市場は深読みしすぎだ。
 
 FRB出身で、現在はダートマス大学タック経営大学院のビジネス・政府・社会センターのシニアフェローを務めるピーター・フィッシャー氏は、中銀関係者が引き起こす誤解の大半は、中銀関係者が公の場で議論を交わすという近年の傾向に原因があると指摘。「(中銀関係者が及ぼす)影響の大きさを考えると、彼らを無視することは難しいが、中銀関係者が投資家に向かって語っていることなのか、それとも中銀関係者同士の議論なのか、しっかり見極める必要がある」と述べた。
 
 クレディ・スイス・グループの欧州経済部門責任者を務めるネビル・ヒル氏は、ドラギ総裁については一般に言われているように高いコミュニケーション能力があるとの認識を共有する一方、カーニー総裁については誤解されているだけだとの見方だ。「ドラギ総裁は『かんしゃく』を引き起こすことなくテーパリングを実現しようとしている」とし、「だからこそ、ユーロ圏の物価動向が『かんしゃく』を起こしそうに見えることを踏まえ、ECBは(総裁の講演の)翌日に火消しに動いたのだと思う」と述べた。
 
 投資家は中銀関係者らの動機について、もっと長い時間をかけて考えた方が良さそうだ。はっきりしていることもいくつかはある。例えば、中銀関係者は「フィリップス曲線」をまだ見捨てていない(同曲線は、失業率が低下すればインフレ率が上昇するという関係をモデル化したものだが、近年はこの逆相関が崩れている)。従って、失業率が下げ続ければ、インフレ率がそれほど上昇していなくても金融引き締めはあると考えられる。
 
 中銀関係者は、意表を突く政策判断で市場を混乱させるという危険を冒すことにはまだ慎重なため、大きな政策変更を行う場合はまず市場に十分織り込ませるだろう。
 
 今週はようやくFRBと英中銀のどちらからも、株価の上昇と社債利回りの低下を警戒している様子がうかがえた。それでも今のところは、相場が下落してもFRBが金融緩和で投資家を助けてくれるという「イエレン・プット」への信頼感が揺らぐほどではない。
 
 よって、中銀関係者の言葉をあれこれ分析するようなまねはやめて、彼らの講演内容を額面通り受け止めようではないか。かつてポール・ボルカー元FRB議長の補佐官を務め、現在はクレディ・スイスの調査部門副会長であるニール・ソス氏が指摘するように、「結局のところ、注目すべきはその行動」なのだから。

出典:Dow Jones

 

【追記】2017年9月2日

09月01日 21時40分 DJ-【市場の声】ECB総裁、テーパリングの定義繰り返す必要も

バークレイズのエコノミストらは、欧州中央銀行(ECB)がやがて量的緩和の完全な終了へ動くことを今秋の時点で宣言すれば「政策の過ちのリスクを不必要に冒す」との見方を示している。そのため、ECBがあまりに早くから自らの行動を制約することは避けたがるかもしれないと指摘した。

 バークレイズの予想が正しければ、ECBのマリオ・ドラギ総裁がテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の定義をいま一度強調しなければならなくなる可能性がある。ECBが2016年12月に毎月の債券買い入れ額を800億ユーロから600億ユーロへ縮小すると発表した際、ドラギ氏は「(テーパリングには)誰が使うかによっていくつかの意味がある。だがこのような言葉のとらえ方として自然なのは、買い入れを徐々にゼロにする政策(という意味)だ」と発言していた。

出典:Dow Jones

 

【まとめ】ECBドラギ総裁はテーパリングかんしゃく起こさずに実現目指す

クレディ・スイス・グループの欧州経済部門責任者を務めるネビル・ヒル氏は「ドラギ総裁は『かんしゃく』を引き起こすことなくテーパリングを実現しようとしている」とし、「だからこそ、ユーロ圏の物価動向が『かんしゃく』を起こしそうに見えることを踏まえ、ECBは(総裁の講演の)翌日に火消しに動いたのだと思う」と述べました。

中銀関係者は、意表を突く政策判断で市場が混乱することを避けたいため、大きな政策変更を行う場合はまず市場に十分織り込ませことを優先します。だからこそ市場関係者は、中銀関係者の言葉をあれこれ分析するような事、つまり「深読み」はやめて、彼らの講演内容を額面通り受け止めるべきだと思う

そうすることで、市場は安定するだろうし、中銀関係者もそれを望んでいるでしょう。私も深読みにより相場が荒れることは好みません。

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