ECBドラギ総裁 量的緩和段階的縮小(テーパリング)へ

ECB量的緩和縮小

ECBが6日公表した政策理事会の議事録(6月7・8日開催分)によると、ECBは同理事会で、追加緩和の可能性を示唆する文言を声明から削除すべきかどうかを検討した。ECBドラギ総裁は、量的緩和の段階的縮小テーパリングを見据える全ての中銀が抱える困難について概要を示してきた。

その辺のテーパリング事情と現実問題について詳しく解説します。



ECBドラギ総裁 量的緩和段階的縮小(テーパリング)へ

ECBが6日公表した政策理事会の議事録(6月7・8日開催分)によると、ECBは同理事会で、追加緩和の可能性を示唆する文言を声明から削除すべきかどうかを検討した。

これに先立ちFRBが5日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月13・14日開催分)では、数人の参加者が債券などから成る大規模な証券ポートフォリオの段階的縮小(テーパリング)を数カ月以内に開始すべきだと主張したことが明らかになった。

ECBドラギ総裁は、量的緩和の段階的縮小(テーパリング)を見据える全ての中銀が抱える困難について概要を示してきた。ECBドラギ総裁は6月末、ECBが債券買い入れで払拭(ふっしょく)を図ったデフレの脅威は過ぎ去ったものの、「全体的な金融状況がリフレのプロセスを後押しする状況を維持する」ためにも、「依然として甚大な規模の金融(緩和)政策が必要だ」との見方を示した。今後も、ECBドラギ総裁の量的緩和のテーパリング(段階的縮小)の動きに注目です。

07月07日 14時56分 DJ-【焦点】市場を動揺させない緩和解消策、日銀が模範に

 欧州中央銀行(ECB)は目下、西側諸国の中銀が軒並み直面している問題に取り組んでいる。どうすれば金融市場を混乱させることなく刺激策を解消できるかという問題だ。

 だが、昨年末以来うまくバランスを取りながら粛々とこの作業を進めてきた中銀が1行ある。投資家が平穏を保つ中で少しずつ国債買い入れを減らしている日本銀行だ。

 6日の欧州市場では、ECBが月額600億ユーロ(約7兆7000億円)の債券買い入れ策の縮小(テーパリング)を開始するとの観測がくすぶる中、10年物ドイツ国債の利回りが2016年初め以降で初めて0.5%に上昇した。

 経済やインフレを加速させるため、主要中銀は債券買い入れを実施してきた。

 日銀の債券買い入れは10年物国債利回りの誘導水準を目標に設定しており、毎月の購入額を目標にしていたECBや英中銀イングランド銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)とは枠組みが異なる。

 日銀が16年9月に導入した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と称する新しい枠組みでは、10年物国債利回りが誘導目標の0%程度をつけると、日銀は国債の買い入れ額を変更でき、変更の事実を公表する必要もない。さらに、国債利回りが上昇した場合の介入を約束しておけば、国債の空売りを考える人たちを思いとどまらせることにもなる。事実上自らのお金を印刷している買い手に対抗しようなどと思う人はいない。

 日銀の資産残高は17年4-6月期に13兆5000億円増え、増加額は16年の四半期当たり平均(22兆8000億円)を下回った。これは13年4月の買い入れ開始以来のスローペースでもある。日本国債はここ9カ月、利回りの変動幅が欧州諸国や米国の国債よりもはるかに小さく、先週勃発した世界的な国債売りとも無縁だった。

 先週の国債売りの引き金となったのは、ユーロ圏の景気回復の「強さが増し、裾野も広がりつつある」という6月27日のマリオ・ドラギECB総裁の発言だ。

 大和証券キャピタル・マーケッツ・ヨーロッパのグラント・ルイス調査部長は「ドラギ総裁は本来伝えたいのとは逆のメッセージが市場に根を下ろす可能性があることに気づきつつある」と述べた。

 ECBが6日公表した政策理事会の議事録(6月7・8日開催分)によると、ECBは同理事会で、追加緩和の可能性を示唆する文言を声明から削除すべきかどうかを検討した。

 これに先立ちFRBが5日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(6月13・14日開催分)では、数人の参加者が債券などから成る大規模な証券ポートフォリオの段階的縮小(テーパリング)を数カ月以内に開始すべきだと主張したことが明らかになった。

 10年物ドイツ国債利回りは5日間で20ベーシスポイント(bp)上昇した。これは、緩和縮小観測を背景に国債が売り込まれた15年春の「ドイツ国債かんしゃく」以降で最大の上昇幅だ。先進国の国債相場は連動する傾向があり、米国債と英国債はこの一週間で利回りがドイツ国債と同じくらい上昇した。一方、日本国債の利回りはわずか2bpの上昇にとどまった。

 日銀はどこまで許容できるかを明確に定めることで市場の安定を保つことができるとアナリストらは言う。日銀は2月3日、新発10年物国債の利回りが一時0.15%に上昇したことを受け、同国債を利回り0.11%で無制限に買い入れる指し値オペ(公開市場操作)を実施し、利回りを押し下げた。

 大和証券キャピタル・マーケッツ・ヨーロッパのルイス氏は「(日銀の)黒田東彦総裁にとってやりやすくなったことは間違いない。総裁は立ち上がって、利回りをこの水準に抑えると宣言した。私に勝てるかやってごらん、私には無限に資金がある、といった感じだ。実際、この(新たな枠組みの)導入で日銀は買い入れの減額を開始できた」と語った。

 アナリストの中には、日銀が現在80兆円としている年間買い入れ目標額を取り下げると予想する向きさえある

 パンテオン・マクロエコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、フレヤ・ビーミッシュ氏は「この目標を破棄しても、政策経路にほとんど弊害はないだろう。利回り曲線の目標だけで全て事足りている」と述べた。

 ドラギ総裁は、量的緩和のテーパリング(段階的縮小)を見据える全ての中銀が抱える困難について概要を示してきた。総裁は6月末、ECBが債券買い入れで払拭(ふっしょく)を図ったデフレの脅威は過ぎ去ったものの、「全体的な金融状況がリフレのプロセスを後押しする状況を維持する」ためにも、「依然として甚大な規模の金融(緩和)政策が必要だ」との見方を示した。

 確かに、ECBが目指したとしても、市場の大きな相場変動を抑えることは必ずしもできないだろう。欧州の債券利回りの動きの激しさは昔から、低成長とデフレが何十年も続いている日本の債券利回りの比ではない。さらに、ECBの傘下にはユーロ圏加盟国の数だけ国債市場があり、1つの市場だけを相手にしている日銀とは事情が違う。

 みずほインターナショナルの欧州金利戦略部門責任者、ピーター・チャットウェル氏は「日本のインフレ期待はずいぶん前から極端なまでに低い。そのため、利回りの急騰を回避しながら金融政策を調整するという中銀の作業が(他の国よりも)スムーズに進みやすい」と述べた。

出典:Dow Jones

 

【追記】2017年9月2日

09月01日 21時40分 DJ-【市場の声】ECBドラギ総裁、テーパリングの定義繰り返す必要も

バークレイズのエコノミストらは、欧州中央銀行(ECB)がやがて量的緩和の完全な終了へ動くことを今秋の時点で宣言すれば「政策の過ちのリスクを不必要に冒す」との見方を示している。そのため、ECBがあまりに早くから自らの行動を制約することは避けたがるかもしれないと指摘した。

 バークレイズの予想が正しければ、ECBのマリオ・ドラギ総裁がテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の定義をいま一度強調しなければならなくなる可能性がある。ECBが2016年12月に毎月の債券買い入れ額を800億ユーロから600億ユーロへ縮小すると発表した際、ドラギ氏は「(テーパリングには)誰が使うかによっていくつかの意味がある。だがこのような言葉のとらえ方として自然なのは、買い入れを徐々にゼロにする政策(という意味)だ」と発言していた。

出典:Dow Jones

 

【追記】2017年10月25日

量的緩和段階的縮小(テーパリング)発表でECBはユーロ高警戒

10月26日の欧州中央銀行(ECB)政策理事会にて、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)のペースや規模が予想以上だった場合、欧州債利回りやユーロ高リスクになると予想している。ユーロ圏では安定的で着実な景気回復が進んでいるため、予想を上回るテーパリングは正当化される可能性があるという。

ただ、ECBはこれまでもユーロ高を警戒しており、テーパリングに対する市場の厳しい反応を避けようと腐心している。9月の理事会以降はユーロ高に対して明らかな懸念を示していた。

10月24日 20時37分 DJ-【市場の声】ECB、QE縮小では独国債タントラム回避を重視か

 欧州中央銀行(ECB)は26日にテーパリング(量的緩和=QEの段階的縮小)を発表する可能性がある。これに関しフィデリティ・インターナショナルの債券ポートフォリオマネジャー、デービッド・シムナー氏は、ドイツ国債市場でまた「テーパー・タントラム」(QE縮小示唆による動揺)を引き起こすことがないよう、ECBは気をつけるだろうとの考えを示した。

 2015年にECBが公的部門の債券買い入れを開始した直後にドイツ10年債の利回りは急騰した。利回りは同年4月半ばには0%をやや上回る水準だったが、6月末には1%近くにまで上昇した。

 シムナー氏はこれを避けるため、マリオ・ドラギECB総裁が記者会見で「明白なフォワードガイダンス」を打ち出すとみている。

出典:Dow Jones

10月24日 08時59分 DJ-【市場の声】ECB、テーパリングには慎重期す公算大 

 アンプリファイング・グローバルFXキャピタル(AmpGFX)の為替ストラテジスト、グレッグ・ギブス氏によると、市場アナリストの多くは26日の欧州中央銀行(ECB)政策理事会について、テーパリング(量的緩和の段階的縮小)のペースや規模が予想以上だった場合、欧州債利回りやユーロ相場の上昇リスクになると予想している。

 ユーロ圏では安定的で着実な景気回復が進んでいるため、予想を上回るテーパリングは正当化される可能性があるという。

 ただ、ECBは今年、必然的にも思われるテーパリングに対する市場の厳しい反応を避けようと腐心している。9月の理事会以降はユーロ高に対して明らかな懸念を示している。

 ECBはテーパリングが予想を超えることをかなり警戒する公算が大きいとギブス氏はみている。

出典:Dow Jones

10月25日 23時18分 FRBより難しいECBのテーパリング、ドラギ氏再び正念場=WSJ

米ウォールストリート・ジャーナル紙は25日、「FRBより難しいECBのテーパリング、ドラギ総裁再び正念場」と伝えた。

欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は3年前、激しい抵抗を押さえて、歴史に残る資産買い入れプログラム(量的緩和=QE)を導入した。買い入れを終了することは、それ以上に微妙な舵取りを迫られるだろう。

ドラギ氏は26日、資産買い入れの段階的な縮小を発表する見込みだ。性急過ぎれば、金融市場の混乱を招き、回復の腰を折りかねない。債務危機が再燃するリスクさえある。だが後手に回れば、ECBは資産買い入れに上限を設定するのか、投資家が疑問視するかもしれない。

出典:Dow Jones

 

【追記】2017年10月27日

ユーロドル急落へ ECBの資産買い入れ段階的縮小がハト派でユーロ安

そしてついに、10月26日のECB理事会での政策金利発表があり、政策金利を現行0.00%据え置きを発表。あわせて「来年1月から9月まで債券買い入れを月300億ユーロに減額」する方針を明らかにしました。

さらに、

  • 「必要に応じQEの規模や期間を拡大する選択肢残す」
  • 「QE終了後も長期にわたり保有債券の償還元本を再投資」

などの方針を示しました。

ECBドラギ総裁の発言を市場はハト派と解釈。
これを受け、ユーロ相場は下落。ユーロドル、ユーロ円ともに急落しています。

その後も、ドラギECB総裁は欧州域内のインフレ圧力は弱まっており、大規模な刺激策が引き続き必要、そして、成長の下方リスクには為替相場が含まれると発言したことを受けて、ユーロ売りが加速しています。

また、本日の決定は全会一致ではなかったことを言及しており、ECBの出口戦略の不透明感がユーロ安を誘発している。

ECBとFRBの段階的縮小を比較

下記の表のように、FRBの段階的縮小(テーパリング)と今回のECBの段階的縮小を比較すると、ECBがハト派的だということが良くわかります。

  ECB FRB
資産買い入れ減額 段階的 直線的
減額後の対応 継続に含み 完全に終了
利上げへの移行 フォワードガイダンス強化 ※1 物価と雇用次第

特にECBの「段階的」という資産買い入れ減額や、「継続に含みを持たせている減額後の対応からハト派の印象が強いので、市場はユーロドル、ユーロ円ともに急落という反応をしたのでしょう。

 ※1 フォワードガイダンスとは何か
フォワードガイダンスとは、一般的には、金融政策に関する「将来(フォワード)」の「指針・方針(ガイダンス)」を示すことを意味します。今回のECBの「利上げへの移行」の場合は、ECBが今後、金融政策を決定する会合の内容をまとめた声明文や、その後の記者会見の場で「しかるべき状況が達成されるまで、金利を低位に据え置く」と、先行きの金融政策の運営方針を市場参加者に伝えることを意味します。

フォワードガイダンスの本質は市場とコミュニケーションをとることで先行きの金融政策に対して投資家を納得・安心させることで、それにより市場の混乱を避けることが狙いです。

 

【まとめ】ECBドラギ総裁 量的緩和段階的縮小(テーパリング)へ

ECBドラギ総裁は、量的緩和のテーパリング(段階的縮小)を見据える全ての中銀が抱える困難について概要を示してきた。ECBドラギ総裁は6月末、ECBが債券買い入れで払拭(ふっしょく)を図ったデフレの脅威は過ぎ去ったものの、「全体的な金融状況がリフレのプロセスを後押しする状況を維持する」ためにも、「依然として甚大な規模の金融(緩和)政策が必要だ」との見方を示した。

今後は、ECBのマリオ・ドラギ総裁がテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の定義をいま一度強調しなければならなくなる可能性がある。ECBが2016年12月に毎月の債券買い入れ額を800億ユーロから600億ユーロへ縮小すると発表した際、ドラギ氏は「(テーパリングには)誰が使うかによっていくつかの意味がある。だがこのような言葉のとらえ方として自然なのは、買い入れを徐々にゼロにする政策(という意味)だ」と発言していた。

今後も、ECBドラギ総裁の量的緩和のテーパリング(段階的縮小)の動きに注目です。

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