ECB総裁とイギリス中銀総裁発言のユーロ、ポンド高を解説

銀行総裁

ユーロは27日、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁の発言を受けドルに対して1.4%もの急騰。

28日には英ポンドも同じように、英イングランド銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁の発言をきっかけに急伸。

その理由についてさらに詳しく解説します。

ECBドラギ総裁とイギリス中銀カーニー総裁発言の中身を解説

ユーロは27日、ドルに対して1.4%もの急騰を演じた。その手掛かりとなったのは欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁の発言だ。総裁は「今やあらゆる兆候からうかがえるのは、ユーロ圏の景気回復が力強さを増し、その裾野も広がりつつあるということだ」と述べた。

 28日には英ポンドも同じように、英イングランド銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁の発言をきっかけに急伸した。カーニー総裁は「(政策当局が)直面しているトレードオフが引き続き軽減され、それに応じて政策判断が従来のかたちに近づけば、金融刺激策を縮小することが必要になる公算が大きい」と述べた。

06月30日 18時22分 DJ-【社説】中銀政策、市場は「正常化」の意味問い直せ

今週の為替・債券相場の不安定な動きについては、不安が経験に勝った結果だと解釈するのが妥当だろう。市場は、中央銀行の政策正常化が本当に迫っていると考えているかのようだ。
 
 ユーロは27日、ドルに対して1.4%もの急騰を演じた。その手掛かりとなったのは欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁の発言だ。総裁は「今やあらゆる兆候からうかがえるのは、ユーロ圏の景気回復が力強さを増し、その裾野も広がりつつあるということだ」と述べた。ECBのやや緩和的な金融政策は奏功しており、それをさらに続けるべきだという文脈の中での発言だったが、それはどうでもいい。市場はこの発言を、ECBが量的緩和(QE)やマイナス金利の早期縮小を示唆したものと受け止めた。ECBは現在、QEの一環で月額600億ユーロの債券買い入れを実施している。
 
 28日には英ポンドも同じように、英イングランド銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁の発言をきっかけに急伸した。カーニー総裁はこの日、経済成長とインフレ目標のトレードオフがもう不要だと感じられれば、利上げを検討する時期がやってくるかもしれないとの見方を示した。厳密に言うと、カーニー総裁の発言は以下のようなものだった。「(政策当局が)直面しているトレードオフが引き続き軽減され、それに応じて政策判断が従来のかたちに近づけば、金融刺激策を縮小することが必要になる公算が大きい」。いかがだろうか。
 
 特に面白みのないこうした発言を、何とかして読み解こうとする投資家を責めることはできない。金融危機後に中銀がバランスシートに積み上げてきた債券の規模を考えると、投資家が中銀の「次の一手」に関する手掛かりを欲しがるというのは、やむをえないことだ。
 
 結果として、実際には中銀関係者の発言内容に中身はほとんどない、ということを市場は見落としている。ECB幹部らは28日、ドラギ総裁は金融政策の正常化に直ちに着手すると言ったわけではないと指摘した。だが、仮に「直ちに着手する」というのがドラギ総裁の真意だったとしても、「正常化」のプロセスは、2015年3月に開始した債券買い入れを非常にゆっくりとしたペースで減らしていくかたちになるだろう。
 
 では、マイナス金利はどうなるだろうか。かつて危機対策と考えられていたマイナス金利は、導入からはや3年がたつ。ECBの預金金利がゼロに戻るのは何年も先になりそうで、ましてや2008年以前の1~3%という水準の回復はいつになるか見当もつかない。同じことは英国にも言える。英中銀が現在0.25%の政策金利を混乱なく3~6%まで引き上げられたとしても、それには何年もの歳月がかかるだろう。
 
 危機下の政策の解消で先頭を走っているのは米連邦準備制度理事会(FRB)だが、景気拡大期が8年に及ぶというのに、そのペースは非常に遅い。FRBがフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標(現在1~1.25%)を来年末までに2%へ引き上げたとしても、1990年代後半に付けた水準や2008年以前のピークを大きく下回ったままだ。

 このような水準では「引き締め」状態にほど遠い。正常な金融政策というものがどういうものかを市場はすっかり忘れてしまっている。ドラギ総裁が指摘するように、ここに中銀関係者のジレンマがある。総裁は、今は緩和水準が適切な政策でも、景気が回復するにつれて過度に緩和的になってしまう恐れがあると警告した。金融緩和を少しばかり解消しただけで、ずっと大幅な引き締めに動いたと解釈される環境では、中銀関係者が政策を調整するのは難しい。
 
 一方、中銀関係者にも責任はある。インフレ率のような定義可能な尺度と実際の金融政策との整合性がより低下している中(事実、英国やユーロ圏のインフレ率はすでに引き締め政策の必要性を示唆している)、中銀関係者は政策調整の有無や時期についてうまく説明できずにいる。
 
 FRBは2013年の「テーパリングかんしゃく(量的緩和縮小の示唆が市場に与えた動揺)」を受け、QEの緩やかな縮小を数カ月先送りした。このときのように、金融緩和というパンチボウルをパーティー会場から片付けるのをもっと後にするよう圧力を掛ければ中銀はそれに従うということを、市場は学習してしまった。この結果として、今週の例が示すように、中銀関係者がもうふさわしくないと考えている危機下の政策から出口に向かおうとすると、市場では混乱が生じる可能性が高くなっているのだ。

出典:Dow Jones

【まとめ】ECB総裁とイギリス中銀総裁発言のユーロ、ポンド高に警戒

ユーロは27日、ドルに対して1.4%もの急騰を演じた。その手掛かりとなったのは欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁の発言だ。総裁は「今やあらゆる兆候からうかがえるのは、ユーロ圏の景気回復が力強さを増し、その裾野も広がりつつあるということだ」と述べた。

 28日には英ポンドも同じように、英イングランド銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁の発言をきっかけに急伸した。カーニー総裁は「(政策当局が)直面しているトレードオフが引き続き軽減され、それに応じて政策判断が従来のかたちに近づけば、金融刺激策を縮小することが必要になる公算が大きい」と述べた。
 
 特に面白みのないこうした発言を、何とかして読み解こうとする投資家を責めることはできない。金融危機後に中銀がバランスシートに積み上げてきた債券の規模を考えると、投資家が中銀の「次の一手」に関する手掛かりを欲しがるというのは、やむをえないことだ。
 
 しかし、結果として、実際には中銀関係者の発言内容に中身はほとんどない、ということを市場は見落としている。

ECB幹部らは28日、ドラギ総裁は金融政策の正常化に直ちに着手すると言ったわけではないと指摘した。だが、仮に「直ちに着手する」というのがドラギ総裁の真意だったとしても、「正常化」のプロセスは、2015年3月に開始した債券買い入れを非常にゆっくりとしたペースで減らしていくかたちになるだろう。

たったこれだけの内容で、上昇したユーロとポンド。今後も上昇するには厳しい相場であることがうかがえるのでは無いでしょうか?

関連記事

 → ECBドラギ総裁 量的緩和段階的縮小(テーパリング)へ

 → ポンドどうなる イギリス保守党連立政権 3つのシナリオ

 → ポンド円2円急落も今後は155円へ強気の中長期見通し

 → ポンド円148円予想 米モルガン・スタンレーはポンド買い推奨

 → ポンド円146円台へ上昇 カーニー英中銀総裁のタカ派発言で

 → ポンド円140円台へ急落 カーニー英中銀総裁のハト派発言で

 → イギリス総選挙結果 与党保守党が過半数割れポンド安へ

 → イギリスEU離脱(ブレグジット)でポンド高は厳しい現実

 

 

 

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*